ドン・キホーテの知識

評価


『ドン・キホーテ』は時代によって多様な評価を受けている。『ドン・キホーテ』が出版された当初は滑稽本として高い評価を受けており、ドン・キホーテのキャラクターも道化としてのイメージで受けとられた。17世紀初頭には早くも、スペイン本国や南米で行われたいくつかの祭りで、ドン・キホーテに扮した人物が人々の笑いをとったという記録が残っている。セルバンテスの人物史とともに実証的な研究が始まったのは18世紀のイギリスにおいてである。1738年にセルバンテスの伝記が初めて出版されたのを期に研究の気運が高まり、それに呼応する形でスペイン本国での実証研究が始まった。この時代の解釈の特徴は、『ドン・キホーテ』から、騎士道に代表される古い悪習を諷刺という形で打倒するという道徳観や批判精神を読み取っていることである。だが19世紀になると、これとも全く異なる読み方が登場する。19世紀の解釈はロマン派|ロマン主義によるもので、フョードル・ドストエフスキー|ドストエフスキーの解釈が典型的である。彼は『作家の日記』の中で『ドン・キホーテ』を「人間の魂の最も深い、最も不思議な一面が、人の心の洞察者である偉大な詩人によって、ここに見事にえぐり出されている」「人類の天才によって作られたあらゆる書物の中で、最も偉大で最ももの悲しいこの書物」(どちらも、ちくま学芸文庫 小沼文彦訳より引用)と評した。19世紀はこのような、ドン・キホーテの感情を尊重した悲劇的な解釈が主流になったが、現在ではこの見方もP・E・ラッセルなどによって批判されている。20世紀の文芸評論家ミハイル・バフチンは、ドン・キホーテをカーニバル文学の大傑作であるとして評価している。そしてこの文学の系譜を忠実に受け継いだのが、19世紀のドストエフスキーであるという。

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永田寛定訳『ドン・キホーテ』岩波文庫、1948-51 永田寛定・高橋正武訳『ドン・キホーテ(続編)』岩波文庫、1953-77 牛島信明訳『新訳ドン・キホーテ』前篇、岩波書店、1999年6月。ISBN 4-00-024110-9  牛島信明訳『新訳ドン・キホーテ』後篇、岩波書店、1999年6月。ISBN 4-00-024111-7外部リンク* El ingen...

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