オーケストラの知識
編成の規模
楽譜に示されたオーケストラの編成の規模を示すのに、二管編成、三管編成、四管編成という言葉が使われる。いずれも木管楽器の各セクションのそれぞれの人数によっておおよその規模を示す。二管編成は、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットが各2名(ピッコロが加わるなどの多少の増減はあり得る)で、ホルンやトランペットも2名程度、ティンパニ、弦楽五部(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)である。この編成に見合う弦楽五部の人数は現代のコンサートにおける標準的な編成で「10型」で5-4-3-2-2プルト(Pult:譜面台のことで、2人で1つの譜面台を見ることから、1プルトは2名に相当する)程度であり、オーケストラ総勢で50名ほどになる。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト|モーツァルトやルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン|ベートーヴェンの初期の作品は、現在このくらいの規模で演奏される。三管編成は、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットが各2名にそれぞれの派生楽器であるピッコロ、イングリッシュホルン、バスクラリネット、コントラファゴットが加わって、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットの各セクションが3名となる。ホルンは4名程度、トランペットとトロンボーンが3名、チューバが加わる。ティンパニの他に若干の打楽器が加わる。この編成に見合う弦楽五部の人数はいわゆる「14型」7-6-5-4-3プルト程度であり、総勢75名ほどである。ベートーヴェンの後期の作品からロマン派音楽|ロマン派の多くの作品はこの程度の規模であり、交響曲第9番 (ベートーヴェン)|第九は非常に近い形としての基礎を確立したが、リヒャルト・ワーグナー|ワーグナーの「ローエングリン」はその最初の完全な形といわれている。四管編成では、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットの各セクションが4名となる。ホルンも4から8人、トランペットとトロンボーンが3〜4人、チューバが1〜2人。打楽器もティンパニ1〜2人を含む5名程度。弦楽五部もいわゆる「16型」の8-7-6-5-4プルト程度となる。総勢100名にものぼる。リヒャルト・ワーグナー|ワーグナー、グスタフ・マーラー|マーラー、イーゴリ・ストラヴィンスキー|ストラヴィンスキー、アルバン・ベルク|ベルクの作品には、この規模の作品が多い。その最初の形はエクトル・ベルリオーズ|ベルリオーズのレクイエム (ベルリオーズ)|レクイエム作品5や同じくテ・デウム (ベルリオーズ)|テ・デウムであるが、当時はいわゆる倍管機能のユニゾンで、後年ワーグナーがその「ニーベルングの指環」や「パルジファル」でその編成を機能的にほぼ組織化した。四管編成よりさらに大きく、各セクションが5人平均となるもの(五管編成相当)もある。ここでは、各セクション4本ずつのスタンダードの木管楽器の上に、ピッコロ、イングリッシュホルン、バスクラリネット、コントラファゴットが加わった形が多い。ホルンは8人以上。トランペットは5から6人。トロンボーンは差が大きく3人から5人。チューバは2人以上が多い。打楽器は7人以上。弦楽合奏は「20型」の10-9-7-6-5プルトが一般的でさらにオルガン・ピアノ。チェレスタ・4人以上のハープ・ギターやマンドリンが付くこともある。リヒャルト・シュトラウス、グスタフ・マーラー|マーラー、イーゴリ・ストラヴィンスキー|ストラヴィンスキーの他に、アルノルト・シェーンベルク|シェーンベルク、エドガー・ヴァレーズ|ヴァレーズ、ジョン・ケージ|ケージ等がいる。管弦楽は120名を超える。なお、これよりもさらに大きな編成で書かれた巨大編成の作品もある。リヒャルト・シュトラウスの「タイユフェ」作品番号|作品52、エドガー・ヴァレーズ|ヴァレーズの「アメリカ」(1922年版)、オリヴィエ・メシアン|メシアンの「アッシジの聖フランシスコ」や「閃光」、ハヴァーガル・ブライアンの交響曲がそれにあたる。百数十名から200名近い「六管編成」ないし「八管編成」にあたるが、特にブライアンの交響曲第1番 (ブライアン)|交響曲第1番「ゴシック」はシェーンベルクの「グレの歌」を凌いで、音楽史上最大の大編成とされている。なおこのような木管楽器の編成は、各セクションが同程度の人数というような形式にあまり当てはまらず、フルートとクラリネットが多くなる割りには、オーボエとファゴットはあまり多くならない傾向があり、金管楽器も相当変則的になる。最も小さな編成に、木管楽器が1人ずつ程度の編成(一管編成相当)がある。リヒャルト・ワーグナー|ワーグナーの「ジークフリート牧歌」は、基本的に木管各1名、ホルン2、トランペット1、打楽器は無しで、弦もワーグナー自宅での初演時は1人ずつであった。現在では室内オーケストラの編成8型ないし6型で演奏されることが多い。アントン・ヴェーベルン|ウェーベルンの「管弦楽のための5つの小品 (ウェーベルン)|5つの小品」作品10のように多くの打楽器や鍵盤楽器が入っていたり、同じく作品21や29、アルノルト・シェーンベルク|シェーンベルクの室内交響曲第1番のような変則的なものも多い。ドイツの現代の子供向けムジークテアターの新作はよくこの編成で書かれ初演される。なお弦楽はコストの節約などのためにワーグナーやウェーベルン、シェーンベルクのように各1人ずつで書かれる場合が多い。その極端な例がストラヴィンスキーの「兵士の物語」である。バロック期のオーケストラでは、管楽器は各パート1名、ヴァイオリンは2パート2〜3名ずつ、ヴィオラ、チェロ2名、コントラバス、ファゴット、鍵盤楽器各1名という程度の規模が多く、大規模でも総勢20名程度のものであった。弦楽を含めた全てのパートを各1名で奏することもある。そのため、バロック期のオーケストラは室内楽あるいは室内管弦楽の範疇とされることもある。なお、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル|ヘンデルの晩年1749年に作曲された管弦楽組曲「王宮の花火の音楽」では、大国イギリスの国家行事という特殊事情もあり、現在考えても膨大な100人という規模の楽団によって、式典の屋外会場で盛大に演奏されたという(参照:巨大編成の作品#番付外)。
楽器の配置
外部リンク: stage formation of orchestra (オーケストラの楽器の並べ方)
<メニュー>>>
オーケストラ / 概論 / オーケストラの歴史 / オーケストラの組織 / 編成の例 / 編成の規模 / 指揮者 / 用語 / オーケストラを舞台にした作品の例 / 関連記事
(*団体名は在任当時)常任指揮者以外の指揮者は客演指揮者と呼ぶ。多くのオーケストラでは、常任指揮者以外に多数の客演指揮者を加え、不足するレパートリーを補ったり新しい共演により芸術的な向上を図ったりする。もっとも常任指揮者によっては、フルトヴェングラーやカラヤンのように自分のライヴァルには絶対振らせないという強権を発動することもかつてはあった。用語 多くの場合...
